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キャリアコンサルティング

2018/08/31

【コラム】企業内キャリアコンサルティングの実例~雑貨店Cの場合~

 今回も前回に引き続き、企業内キャリアコンサルティングの実施例をご紹介します(守秘義務の範囲内で了解を得ています)。

 以前、ある雑貨店を運営している企業から、C店に関してキャリアコンサルティングを導入してみたい、という要望を受けました。経営者の方に悩みや課題を伺ってみると、下記のようなものでした。

・店舗の売上が良くない。
・スタッフの雰囲気が良くない。
・お客様からのクレームが他店に比べて多い。
・経営者自身が店長やスタッフと定期的に面談する機会を設けているが、
    面談上、問題があるとは感じられない。
・自分に対しては言いにくい問題があるのではないか。

 私はまず、店長に対しキャリアコンサルティングを実施しました。キャリア面談という形を取りましたので、あくまでも自分のキャリアのことを中心に話を聴きながらでしたが、現状、店長が抱える悩みや課題は以下のようなものでした。

・店長業務に必死で、この先の展望が見えない。
・店長として果たすべき責任が大きい。
・スタッフのキャラクターが様々で、指揮命令に苦労している。

 その上で、悩みや課題を解決するためには何をすべきなのかを考えてもらい、一定の回答を得ました。その話の中で、スタッフに対する思いなども出てきましたので、本人了解のもと、それを念頭に順次スタッフへのキャリア面談を開始しました。各スタッフの主な悩みや課題は以下のようなものでした。

【スタッフ1】
店長の役に立ちたい。しかし、どうすれば良いか分からない。いずれは店長になりたい。
【スタッフ2】
仕事の指導をしてくれない。相談できる相手がいなくて、場当たり的にこなしている状態。
【スタッフ3】
目の前にあることに集中しすぎて、他のことを考える余裕がない。
【スタッフ4】
接客以外の業務が多すぎて、お客様中心に考えられない。
【スタッフ5】
特に問題は感じていない。

 それらの話を受け、私は店長から承諾を得た範囲内で店長や経営者の方の思いを伝え、自分の悩みや課題を少しでも解決するためには何をすべきなのかを考えてもらい、面談を一旦終了しました。

 1ヶ月後、様子を伺うために改めて店長と各スタッフに面談を実施しました。各自の様子は以下のようなものでした。

【店長】
お店は自分1人では回せないので、スタッフを信じることの大切さに気づいた。今は極力、スタッフに丁寧に業務の目的をとやり方を説明するように心がけている。今まで一人で責任を感じすぎていたのかもしれない。任せられるスタッフを育てることで、将来的にやりたい役割が見えてきた気がする。
【スタッフ1】
店長の考えていることが少しずつ分かってきた。店長が忙しい時は、自分も責任感をもって自分から動くようにすることが店長のサポートにも繋がる。そのような考えをもっていれば、いずれ自分が店長になった時、きっと役に立つはず。
【スタッフ2】
店長からだけではなくスタッフ1からも教えてもらえるようになった。また、教わるという受け身の姿勢ではなく、自分で考えてから尋ねることが必要であることに気づいたので、できるだけそうしている。
【スタッフ3】
もう少し周りを見るように心がけるようになった。お店がどうすれば良くなるのか、意見を出せるようになった。
【スタッフ4】
スタッフへの声かけを増やすなど、連携を綿密に取ることにより、自分の業務に優先順位を付けられるようになった。
【スタッフ5】
最近はお店がどうすれば良くなるのか考えるようになり、そのために自分が何をすべきかを模索している。

 キャリア面談を実施後、この企業の経営者はC店に関して、以下のような変化を感じているとおっしゃっていました。

・お店の雰囲気が良くなった。スタッフ間のコミュニケーションが増えたようだ。
・店長の様子が変わってきた。以前は必至で忙しさが前面に出てしまいスタッフが声をかけづらかったようだが、今は表情1つ取っても柔らかく余裕を感じられる。
・スタッフ達が自分のやることを理解できたためかキビキビと動くようになった。

 企業内キャリアコンサルティングでは、社員個人を支援することはもちろんですが、このように上司(店長)と部下(スタッフ)などで構成される組織の調整役を担うこともあります。また、外部のキャリアコンサルタントがその役割を担うことにより、当事者達の本音を聴き出せたり、客観的な視点で課題が見えたりすることがあります。企業内キャリアコンサルティングの価値として、個人の支援を通じ組織の支援に繋げることができるということを実感した一件でもありました。

(文:エムキャリ・コラム編集部)

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