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2018/06/15

【コラム】中途採用の面接時における傾聴の効果

 6月に入り、2019年度新卒採用において、徐々に内定を出されている企業も少なくはないのでしょうか。

 その一方で慢性的な人手不足の中、急な欠員が出てしまった場合や新規事業の立ち上げなどにより、新卒採用に並行して即戦力人材が必要になる場合もあるでしょう。優秀な中途採用人材は、新卒採用と同じぐらい重要です。いかに、いい人材に自分の会社に来てもらうか。私は、面接での信頼関係がカギになると考えています。

 今回は、私が以前経験した中途採用面接でのお話をご紹介します。

 当時、私は中小企業の人事部で中途採用を担当していました。欠員補充のため、商品の受発注を担当する部署に1人採用しなければならない時がありました。その書類選考時、応募者の中に転職を繰り返していたある男性がいました。

 30代前半で4回の転職。「年齢の割に少し転職回数が多いな」と感じましたが、履歴書や職務経歴書がしっかりと書かれており、会社で必要としていたパソコンスキルの高さも申し分なく、まずは一度会ってみることにしました。

 実際に面接でお会いしてみると、その方は清潔感があり、話し方もしっかりされ、とても好感をもてる青年でした。簡単な自己紹介が終わり、勤務されていた会社の退職理由を聴いていきました。

 ある会社では、入社後しばらくして社長室付となり、1ヶ月の半分はシンガポールに滞在、またある会社では、入社1年で他県にある工場の工場長として抜擢、その他の勤務先でも、入社して間もなく役職が付き、同じ年齢の男性よりも給与がよく、好待遇だったのです。それにも関わらず、なぜ退職してしまうのでしょうか。それには理由がありました。

 抜擢されたり役職が付くタイミングでご家族が病気にかかったり、奥様がご懐妊されたり、家族にまつわることで家庭を離れることができず、退職を繰り返していたというのです。

 私はその方の話を“傾聴”(人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾けること。自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に聴くこと)しました。

 今までの私なら「そんな好待遇なのに辞めるなんてもったいないですね」と話していたことでしょう。事実、後日、その方に確認したところ、どの面接でもそう言われたそうです。

 しかしこの時、私はその方にこのように話しました。
 「ご家族のことをとても大切に思ってらっしゃるんですね」

  そう話した途端、その方の表情がぱっと明るくなり、満面の笑顔で
 「僕、面接でそんな風に言っていただいたのは初めてです!」とおっしゃいました。

 その後の面接でもご自身のことを深くお話しくださり、最終的には他社の内定を断って、私の勤めていた会社に入社していただけました。

 中途採用の面接では時間をかけず、職務経歴書などに書かれている実績を重視してしまい、いざ入社すると、思っていた人物像と異なる…という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  相手の話をしっかり傾聴し、本当の想いをくみ取ることは大切です。そして、くみ取ることができたら、短い時間でも信頼関係を形成でき、他社に内定が決まっていたとしても、自分を信じて入社してくれるということもあります。私はこの経験を通じ、中途採用で最も大切なことは、「面接時の傾聴」であると強く実感しました。

(文:エムキャリ・コラム編集部)

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