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キャリアコンサルティング

2018/05/28

【コラム】偶然を転機に変えるキャリアコンサルティング(後編)

 前回の続きです。私は、クルンボルツ博士のDVDを見て、ハップンスタンス・ラーニング・セオリーに関して、改めて気づきを得ることがありました。

 まず、「偶然の出来事」に関して前回も少し触れたように、私は偶然をとても“受動的”に捉えていました。人生の中で偶然は予期しようと予期しなかろうと波のように自分に対してやってくるものであり、その自然に訪れた偶然に対して前向き捉え、好機に変えていくことがクルンボルツの理論だと考えていました。

 しかし、DVDを見終わり率直に感じたことは、偶然は自らの行動によってつくり出すことができ、「人は学習し続ける存在である」という学習理論の前提のもと、偶然から生まれる新たな学習機会を通して、クライエントの可能性やチャンスを広げていけるように支援することが大切なのだ、という点でした。偶然がやってくるのを待つのではなく、自らの行動により“積極的”に偶然をつくり出し、様々なことを学び、試行錯誤する中でクライエントが自分の能力や興味を広げられるように支援することがキャリアコンサルティングにおいて大切であることに気づかされました。

 そして、もう一つの発見は、学習理論において、決定を先延ばしにする状態は「望ましいことである」と考えられ、その状態は新しい学習を促し、可能性を広げることにつながると考えられることです。働く人々にとって、決定を先延ばしにする状態を「望ましい」と考えることはあまりないように思います。それは、社会生活において(特に企業において)意思決定をスピーディーに行い、アクションに結びつけることが、企業にとって生存競争に勝ち抜き、市場において確固たる地位を獲得するためにも必要であると教え込まれているからです。企業の成長と個人の成長は次元が違うものですが、日々職業人として仕事に追われているうちに、企業の成長と同じ物差しで個人の成長についても考えがちになるように思います。自分の感情に蓋をして、企業の方針に従って動いているうちに、自分が何を感じて、どうしたいのか分からなくなる人も多いのではないでしょうか。

 キャリアコンサルティングを通して、私たちキャリアコンサルタントができることは多岐に渡りますが、少なくとも時間を割いて話をしてくださるクライエントに対して視野が広がるようなかかわりができるように心がけ、感情的ではなく冷静かつ客観的に出来事に対して向き合えるように支援をしていきたいと考えています。

 クライエントが“積極的”な偶然をつくり出すための一つの選択肢としてキャリアコンサルティングの場を活用し、キャリアコンサルタントとの偶然の出会いを通して自身を見つめ、自身の視野・可能性・チャンスを広げる機会にしてもらえたら、キャリアコンサルティングの目的の一つでもある「クライエントが生きがいを感じ、満足できる生活を過ごせる」支援の一助となるのではないか考えています。

(文:エムキャリ・コラム編集部)

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